「HELLSING(ヘルシング)」のアニメを見ようと思った時、「TV版」と「OVA版(Ultimate)」の2種類があって困惑したことはありませんか?
「同じ内容のリメイクでしょ?」と思って適当な方を選ぶと、全く異なる結末に驚くことになります。
この記事では、「HELLSINGのアニメとOVAの決定的な違い」について、原作ファンの視点から徹底的に解説します。
この記事でわかること
- TV版は後半完全オリジナル、OVA版は原作完全再現
- アンデルセン神父やマクスウェルの声優キャスト変更点
- 「少佐」の演説が見られるのはOVA版のみという事実
あなたの貴重な時間を無駄にせず、最高の「旦那(アーカード)」体験をするために、ぜひ最後までチェックしてください。
この記事を書いた人
名前 / 肩書き:アニメ・VOD考察ライター / 英国国教騎士団・入団希望者
専門領域:ダークファンタジーアニメ比較、旧作アニメ発掘、VOD配信分析
実績:アニメ特化ブログ月間40万PV、ガンアクションアニメの解説記事で検索1位獲得
あなたへのスタンス:ただのスペック比較ではなく、ファンの熱量に寄り添い「あなたの好みに合うのはどっちか」を明確に提案します。
HELLSINGアニメとOVAの違いとは?基本スペックの比較表

まずは、TVアニメ版(通称:無印/ゴンゾ版)と、OVA版(通称:Ultimate)の基本的な違いを整理しましょう。
制作会社、放送時期、そして何より「物語の長さ」が大きく異なります。
放送時期と制作会社の違い
TV版とOVA版は、制作された時代背景とスタジオが異なります。
それぞれの特徴を一目でわかる表にまとめました。
【基本スペック比較表】
| 項目 | TVアニメ版 (GONZO) | OVA版 (Ultimate) |
| 放送・発売 | 2001年 (全13話) | 2006年〜2012年 (全10巻) |
| 制作会社 | GONZO | サテライト / マッドハウス / グラフィニカ |
| 1話あたりの尺 | 約24分 | 約40分〜60分 (長編) |
| 原作準拠度 | 前半のみ準拠 (後半オリジナル) | 最後まで完全準拠 |
| 主な敵組織 | 吸血鬼集団 (オリジナル) | ミレニアム (少佐) |
TV版は2000年代初頭のアニメらしく、独特のクールで退廃的な雰囲気が特徴です。
一方、OVA版は制作期間に約6年を費やし、作画クオリティを極限まで高めた超大作となっています。
原作漫画とのストーリーのズレ
最大の違いは、原作漫画のストーリーをどこまで再現しているかという点です。
TV版が放送された2001年当時はまだ原作が連載中だったため、独自のルートを辿る必要がありました。
【ストーリー構成の違い】
- TVアニメ版:
- 第1話〜中盤までは原作のエピソード(バレンタイン兄弟襲撃など)をなぞる。
- 後半からは完全オリジナル展開へ突入し、独自のラスボスと戦って完結する。
- OVA版:
- 第1巻から最終巻まで、平野耕太先生の原作漫画全10巻の内容を余すことなく完全映像化。
- ロンドン決戦や少佐の目的など、原作の核心部分が描かれる。
つまり、「原作通りのヘルシングが見たい」という方は、迷わずOVA版を選ぶ必要があります。
どちらを見るのがおすすめ?
結論として、視聴者のタイプによっておすすめは分かれます。
それぞれの魅力を踏まえた選び方は以下の通りです。
【タイプ別おすすめリスト】
- OVA版がおすすめな人:
- 原作漫画のストーリーを最後まで見たい人
- 「少佐」の演説や、ミレニアムとの戦争が見たい人
- グロテスクな描写や流血表現に耐性があり、高い作画クオリティを求める人
- TVアニメ版がおすすめな人:
- スタイリッシュで大人っぽい雰囲気が好きな人
- 素晴らしいBGM(サウンドトラック)を楽しみたい人
- 短時間(全13話)でサクッと完結させたい人
多くのファンは「OVA版こそ至高」と言いますが、TV版の持つ独特の美学(渋さ)も捨てがたい魅力があります。
HELLSINGアニメとOVAの違い:ストーリーとラスボスの変更点

ストーリー面での最大の違いは、敵対する組織とラスボスの存在です。
ここを知らずに見ると、「あれ?ナチス(ミレニアム)が出てこないぞ?」と混乱することになります。
TV版オリジナルの敵「インコグニート」
TVアニメ版の後半には、原作には登場しないオリジナルの敵キャラクター「インコグニート」が登場します。
彼はアフリカ大陸から来たような呪術的な外見をした吸血鬼で、アーカードと激しい銃撃戦を繰り広げます。
【インコグニートの特徴】
- 外見:
- 全身に入れ墨のような模様があり、異様な風貌。
- 武器:
- 自身の体の一部を変形させた武器や、召喚魔術のような能力を使用。
- 評価:
- 原作の「少佐」のようなカリスマ性は薄いが、不気味で謎めいた存在感はTV版の雰囲気にマッチしている。
ミレニアム(最後の大隊)との戦争が描かれないため、TV版はあくまで「ヘルシング機関 vs 強力な野良吸血鬼」という構図で完結します。
OVA版の敵「ミレニアム(最後の大隊)」
OVA版では原作通り、ナチスの残党である吸血鬼軍団「ミレニアム」との戦争が描かれます。
ロンドンが火の海になる地獄絵図は、OVA版でしか見られません。
【ミレニアム編の見どころ】
- 少佐の存在:
- 戦争を愛する狂気の指揮官「少佐」が登場。
- 裏切りと共闘:
- ヴァチカン(イスカリオテ)との三つ巴の戦いが勃発。
- スケール感:
- 個人戦ではなく、飛行船や軍隊を用いた「戦争」としての吸血鬼退治。
原作ファンが最も見たかった「ヘルシング家の執事としてのウォルターの活躍」や「セラスの真の覚醒」も、このOVA版で詳細に描かれます。
「よろしい、ならば戦争だ」はOVAのみ
ネットミームとしても有名な少佐の演説、「諸君、私は戦争が好きだ」から始まる長台詞。
これはOVA版の第4巻などで堪能することができます。
【少佐の演説シーンの違い】
- TVアニメ版:
- 少佐自体が登場しないため、演説シーンは一切なし。
- OVA版:
- 飛田展男さんの怪演により、数分間にわたる長台詞が完全再現。
- BGMをあえて消し、声だけで魅せる演出は鳥肌モノ。
この演説を聞くためだけにOVA版を見る価値があると言っても過言ではありません。
HELLSINGアニメとOVAの違い:声優キャストの変更

基本的にはTVアニメ版もOVA版も、アーカード役の中田譲治さんをはじめとする主要キャストは共通しています。
しかし、一部の重要なキャラクターにおいて、キャスト変更が行われています。
アンデルセン神父の声優変更
アーカードの宿敵であるアレクサンド・アンデルセン神父の声優が異なります。
どちらも日本を代表する大御所声優であり、甲乙つけがたい魅力があります。
【アンデルセン役の比較】
- TVアニメ版:野沢那智
- 鋭く、狂気を孕んだ高いトーンの演技が特徴。
- 「エイメン!」の叫びに独特の軽快さと怖さがある。
- OVA版:若本規夫
- 重厚でドスの効いた、いわゆる「若本節」全開の演技。
- 圧倒的な威圧感と、腹の底から響くような説法が魅力。
TV版の野沢那智アンデルセンは「クレイジーな狂信者」、OVA版の若本アンデルセンは「重戦車のような破壊者」という印象を受けます。
マクスウェルなどのキャスト変更
アンデルセン以外にも、イスカリオテ機関の局長エンリコ・マクスウェルなどのキャストが変更されています。
【その他の変更点】
- エンリコ・マクスウェル:
- TV版:田中秀幸(知的で冷徹なエリートの印象)
- OVA版:速水奨(より傲慢で、後半の狂乱ぶりとのギャップが激しい)
- ウォルター(青年期):
- TV版:登場なし
- OVA版:浪川大輔(過去編および後半の展開で重要な役割)
老ウォルター(清川元夢)、アーカード(中田譲治)、セラス(折笠富美子)、インテグラ(榊原良子)といったメイン4人は続投しており、作品の根幹となるイメージは保たれています。
少佐役・飛田展男の怪演
前述の通り、少佐はOVA版のみの登場ですが、そのキャスティングは完璧と称賛されています。
『機動戦士Zガンダム』のカミーユ役などで知られる飛田展男さんが、理知的かつ狂気的な少佐を演じています。
【飛田展男版少佐の凄さ】
- トーンの一定感:
- 激昂することなく、常に楽しそうに戦争を語る不気味さ。
- 滑舌の良さ:
- あの長文演説を、噛むことなく、かつ感情を乗せて語り切る技術。
TV版にはない要素として、この「声の演技」の凄まじさは特筆すべきポイントです。
HELLSINGアニメとOVAの違い:作画と残酷描写のレベル
ビジュアル面においても、TV版とOVA版では目指している方向性が異なります。
「スタイリッシュさ」を取るか、「書き込み量と迫力」を取るかという違いです。
TV版のスタイリッシュな演出
TVアニメ版(GONZO制作)は、画面全体の色調が抑えめで、影を多用した演出が特徴です。
予算や技術の制限を逆手に取り、センスの良いカット割りで魅せる作りになっています。
【TV版の作画特徴】
- シルエット重視:
- 暗闇に浮かぶアーカードの赤いコートやサングラスの光沢。
- アクション:
- 動きはやや少なめだが、ポージングや構図がカッコいい。
- 規制:
- TV放送のため、過度な流血や欠損描写はマイルドに抑えられている。
「大人の雰囲気漂うガンアクション」として楽しむなら、TV版の映像美も捨てたものではありません。
OVA版の圧倒的な書き込みと流血
OVA版は、原作漫画のあの「インクの匂いがしそうな濃い絵」をアニメで再現することに執念を燃やしています。
キャラクターの表情のシワ一つ一つまで書き込まれています。
【OVA版の作画特徴】
- 線の密度:
- 影のつけ方や服のシワが細かく、原作の劇画タッチに近い。
- ゴア描写:
- 首が飛ぶ、体が千切れる、血の海ができる等の描写が規制なしで描かれる。
- 表情:
- セラスのギャグ顔(デフォルメ)とシリアス顔の落差も原作通り再現。
食事中には見られないほどのスプラッター要素がありますが、それが『HELLSING』の本質でもあります。
セラス・ヴィクトリアの扱いの違い
ヒロインである婦警(セラス)の描かれ方も微妙に異なります。
TV版では彼女の葛藤や成長にスポットが当たりやすく、より人間味のあるキャラクターとして描かれています。
【セラスの描写比較】
- TV版:
- 吸血鬼になったことへの苦悩がより深く描かれる。
- 服の色が少し違う(原作やOVAは黄色だが、TVは青みがかっている)。
- OVA版:
- ギャグパートの担当としても活躍。
- ベルナドット隊長との絆や、覚醒後の無双シーンがメイン。
「可愛いセラスが見たい」ならどちらも正解ですが、戦闘マシーンとしてのセラスが見たいならOVA版です。
HELLSINGアニメとOVAの違い:音楽(BGM)の評価
ファンの間で意見が分かれるのが「音楽」です。
実は、音楽に関しては**「TVアニメ版の方が好き」**という声も非常に多いのです。
TV版の伝説的BGM「ロゴスなきワールド」
TVアニメ版の音楽を担当したのは石井妥師(いしイヤスシ)氏。
ジャズ、ロック、ガレージバンド風の楽曲が入り混じった、非常に個性的でカッコいいサウンドトラックです。
【TV版音楽の魅力】
- オープニング曲:
- 「ロゴスなきワールド」。ピアノの旋律としゃがれたボーカルが印象的な名曲。
- 劇中歌:
- 気だるげでアンニュイな曲が多く、HELLSINGの「夜の雰囲気」を最高に高めてくれる。
「アニメ本編の内容は忘れたけど、音楽だけはiPhoneに入れている」というファンがいるほど、音楽の完成度は高いです。
OVA版の重厚なオーケストラ
一方、OVA版の音楽は松尾早人氏などが担当し、ハリウッド映画のようなオーケストラサウンドが中心です。
【OVA版音楽の魅力】
- 壮大さ:
- ナチスの軍隊や十字軍との戦争を描くため、スケールの大きい曲が多い。
- 恐怖感:
- ホラー映画のような不協和音や、コーラスを用いた荘厳な楽曲。
戦争映画としての盛り上がりを感じたいならOVA版の音楽がマッチしますが、個性の強さではTV版に軍配が上がるかもしれません。
HELLSINGアニメとOVAの違い:配信サービス(VOD)での視聴方法
今から『HELLSING』を見るなら、DVDレンタルよりも動画配信サービス(VOD)が便利です。
しかし、TV版とOVA版の両方を配信しているサイトは限られています。
U-NEXTならOVA版が見放題
2025年現在、U-NEXTでは『HELLSING OVA(Ultimate)』が見放題対象として配信されています。
TVアニメ版に関しても配信されている時期が多いですが、まずはOVA版を確実に見られる点が強みです。
【U-NEXTで見るメリット】
- 全10巻が見放題:
- OVAは1巻ごとの単価が高いため、定額で見られるのはコスパ最強。
- 無料トライアル:
- 31日間の無料期間があり、その間に全話一気見が可能。
- 原作コミック:
- ポイントを使って原作漫画を読むこともできる。
「少佐の演説」や「ロンドン決戦」を高画質ですぐに見たいなら、U-NEXT一択です。
DMM TVもアニメに強い
コストを抑えたい場合は、DMM TVも有力な選択肢です。
月額550円(税込)という低価格で、多くのアニメ作品をカバーしています。
【DMM TVの特徴】
- 圧倒的な安さ:
- 他サービスの半額近い料金で利用可能。
- アニメ特化:
- 新作から旧作OVAまで、マニアックなラインナップが豊富。
学生さんや、固定費を抑えてヘルシングを楽しみたい方におすすめです。
Huluは海外ドラマファン向け
Huluでも配信されているケースがあります。
HELLSINGは海外でも絶大な人気を誇るため、海外ドラマや洋画に強いHuluとの親和性は高いです。
【Huluの使い分け】
- すでにHulu会員の方は、検索窓で「HELLSING」と打ってみてください。
- 英語吹き替え版などが配信されている場合もあり、違った楽しみ方ができるかもしれません。
HELLSINGアニメとOVAの違いに関するQ&A
ここでは、これから視聴する人が抱きがちな疑問に、一問一答形式でズバリお答えします。
アーカードの強さに違いはある?
Q. TV版とOVA版で、主人公アーカードの強さ設定に違いはありますか?
結論から言うと、**OVA版の方が圧倒的に強く、そして「化け物」**です。TV版では封印解除(拘束制御術式解放)の描写が限定的ですが、OVA版では「死の河」をはじめとする絶望的なまでの能力を見せつけます。
「最強すぎて敵が可哀想」という感覚を味わいたいなら、間違いなくOVA版のアーカードがおすすめです。
リメイク版として見るべき?
Q. OVA版はTV版のリメイク(作り直し)という認識で合っていますか?
厳密には**リメイクではなく「原作準拠版の再アニメ化」**です。『鋼の錬金術師』の旧アニメ版と『FULLMETAL ALCHEMIST(FA)』の関係に近いです。
TV版は「原作素材を使ったオリジナル作品」、OVA版は「原作をそのまま動かした作品」と捉えるのが正解です。ストーリーが繋がっているわけではないので、どちらか片方だけ見ても問題ありません。
TV版の続きをOVAで見れる?
Q. TVアニメ版を見終わった後、その続きとしてOVA版を見ることはできますか?
いいえ、**話は繋がりません。**TV版は独自の結末を迎えて完結していますし、OVA版はまた第1話(第1巻)から物語が始まります。
もしTV版を見た後にOVA版を見る場合は、また最初から見直すことになりますが、展開や演出が全く違うため退屈することはありません。むしろ「違い」を楽しめるはずです。
まとめ:HELLSINGアニメとOVAの違いは「原作愛」と「雰囲気」
ここまで、HELLSINGのアニメ版とOVA版の違いについて解説してきました。
最後に、この記事の要点を3つにまとめます。
- 原作準拠ならOVA一択: ミレニアムとの戦争、少佐の演説、真の結末はOVAにしかない。
- 雰囲気重視ならTV版: スタイリッシュな映像と、石井妥師による神BGMはTV版特有の魅力。
- 声優の違い: アンデルセン(野沢那智vs若本規夫)など、両方の名演を楽しむのが通の楽しみ方。
「どっちも見なきゃダメ?」と聞かれたら、私は**「まずはOVA版を見て、ヘルシングの世界にドハマりしたらTV版で音楽と雰囲気を楽しんで」**と答えます。
それほどまでに、OVA版『HELLSING Ultimate』の完成度と熱量は凄まじいものがあります。

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